ジオン治療 (4段階注射法)

注射療法による内痔核治療

この治療法は、ジオンという新薬を「脱出を伴う内痔核」に直接注射するものです。
痔に流れ込む血液の量を減らして痔を硬化、縮小させ、痔を粘膜に癒着、固定させる療法です。出血や痔の脱出、肛門のまわりの腫れがなくなります。
痔核を切り取る手術と違い、痔核の痛みを感じない部分に注射するので、傷口が痛んだり、出血することがほとんどなく、しかも従来の痔を切る手術に匹敵するような成績が得られています。薬液の注入には15分〜20分を要し、十分肛門括約筋を緩めて正確な部位に注入する必要があるため肛門の周りの麻酔が必要です。当クリニックでは、ジオン治療は日帰りでも可能です。

この注射には知識と熟練を要するため、
ジオンを使用できるのは講習を受け認められた医師のみです。


子どもや妊婦、授乳中の女性などは、この治療が受けらません。また腎臓の悪い人も治療が受けられない場合がありますので事前の診察が必要です。




○ジオン注とはどんな薬?

ジオン注の有効成分は硫酸アルミニウムカリウムとタンニン酸というものです。
ジオン注とはどんな薬でしょうか?

● 硫酸アルミニウムカリウム … 出血症状や脱出症状を改善する
● タンニン酸 … 硫酸アルミニウムカリウムの働きを調節する


○どのようにジオン注を投与するの?

ジオン注を投与する前に肛門の周囲だけ効く麻酔を行い肛門周囲の筋肉を緩め注射をしやすくします。ジオン注はひとつの痔核に対して図のように4か所に分割して投与します。これは痔核に薬液を十分に浸透させるための方法で、四段階注射法といいます。
複数の痔核がある場合には、それぞれに投与します。投与後しばらく点滴を続け、麻酔の影響がなくなるまで安静にする必要があります。
ジオン治療図01

○ジオン注を投与するとどうなるの?

投与後の早い時期に痔核へ流れ込む血液の量が減り出血が止まります。脱出の程度も軽くなります。
ジオン治療図02
投与した部分が次第に小さくなり、引き伸ばされていた支持組織が元の位置に癒着・固定して、脱出がみられなくなります。(1週間〜1か月) ジオン治療図03